学校説明会などで,
「本校の授業をきちんと受けていれば,塾に通う必要はありません」
と説明されたことのある保護者の方も多いのではないでしょうか。
私は,さまざまな学校に通う中学生・高校生の保護者の方から,
学習や大学受験についての相談を受けています。
その中で実際によく聞くのが,
「説明会で塾は必要ないと聞いて入学したのですが,学校の授業だけではうまくいきませんでした」
という声です。
学校の授業を信頼して入学したにもかかわらず,
実際には授業についていけなかったり,
大学受験に向けて何をすればよいのか分からなくなったりしている生徒は,
決して珍しくありません。
学校にもそれぞれの教育方針があります。
学校の授業だけで十分に力を伸ばせる生徒もいるでしょう。
しかし,すべての生徒に対して
「塾は必要ありません」
と言い切ることについては,
もう少し慎重に考える必要があるのではないでしょうか。
そもそも「塾不要」と断言できる学校は存在するのでしょうか
学校には,学習意欲も理解度も志望校も異なる生徒が集まっています。
授業を一度聞けば理解できる生徒もいれば,
何度か説明を受け,演習を重ねることで理解できる生徒もいます。
学校の授業だけで十分に力を伸ばせる生徒がいることは間違いありません。
一方で,学校の授業だけでは理解が追いつかない生徒や,
志望校に合わせた追加の対策が必要になる生徒も当然いるでしょう。
それにもかかわらず,
すべての生徒に対して
「塾は必要ありません」
と断言することは,本当に可能なのでしょうか。
学校の授業だけで大学受験に臨み,
希望する進路に進めなかった場合でも,
学校がその進路を補償してくれるわけではありません。
最終的に進路について判断し,その結果を受け止めることになるのは,
生徒本人とそのご家庭です。
だからこそ,
「学校が塾不要と言っているから大丈夫」
と考えるのではなく,
お子様の現在の状況を見て判断する必要があります。
「塾不要」の根拠となるデータは示されていますか
学校が「塾不要」と説明するのであれば,
本来はその根拠も確認したいところです。
例えば,次のようなデータは示されているでしょうか。
- 卒業生のうち,塾や予備校を利用していた生徒の割合
- 塾に通っていた生徒と,通っていなかった生徒の大学合格実績
- 学校の授業だけで難関大学に合格した生徒の人数
- 第一志望校に現役で合格した生徒の割合
学校全体の大学合格実績だけを見ても,
その合格者が学校の授業だけで合格したのか,
塾や予備校も利用していたのかは分かりません。
難関大学に合格した生徒の多くが,
実際には塾や予備校に通っていたという可能性も十分にあります。
そのような情報が示されていないまま,
「本校は塾不要です」
と説明されても,
その言葉に十分な根拠があるとは限りません。
学校の大学合格実績を冷静に見てください
まずは,お子様が通っている学校の大学合格実績を確認してみてください。
その実績は,
全生徒が希望する進路に進めているように見えるでしょうか。
卒業生全員が現役で大学に進学しているでしょうか。
浪人する生徒は一人もいないのでしょうか。
もちろん,大学受験の結果には,
学校の指導だけでなく,本人の努力や志望校の難易度など,
さまざまな要因が関係します。
希望する大学に合格できなかった結果について,
すべて学校に責任を求めるべきだとは考えていません。
しかし,希望する進路に進めなかった生徒が一定数いるにもかかわらず,
すべての生徒に対して「塾不要」と言い続けるのであれば,
その表現には疑問が残ります。
うまくいかなかった生徒に対して,
「本人の努力が足りなかった」
「能力や適性の問題だった」
と説明するだけで終わるのであれば,
塾不要という言葉は学校にとって都合のよい宣伝文句になってしまいます。
希望する進路に進めなかった生徒たちを前にしても,
なお堂々と
「うちの学校は塾不要です」
と言えるのでしょうか。
大切なのは,学校の言葉が正しいかどうかを議論することではありません。
お子様にとって,本当に学校の授業だけで十分なのかを見極めることです。
学校内でトップの成績でも,現役合格できるとは限りません
私の兄は,東京大学や京都大学に多くの合格者を出している学校の出身です。
その学校でも,先生は
「学校の授業をきちんと受けていれば,塾は必要ない」
と話していたそうです。
兄の学年には,その言葉を信じて,
学校の勉強に真面目に取り組んでいた生徒がいました。
その生徒は塾には通っていなかったものの,
定期テストでは毎回のように学年トップの成績を取っていたそうです。
学校内での成績だけを見れば,
学校の授業だけで十分に順調に進んでいるように見えたはずです。
しかし,高校3年生で京都大学を受験した結果は不合格でした。
その後,1年間,大手予備校に通って浪人生活を送り,
翌年に京都大学へ合格したということです。
合格後,その生徒は,
「塾不要という学校の言葉を信じた自分が馬鹿だった」
と話していたそうです。
もちろん,その生徒が現役で合格できなかった原因を,
すべて学校の指導や「塾不要」という言葉だけに求めることはできません。
塾に通っていれば必ず現役で合格できたとも断言できません。
ただし,この話から分かることがあります。
学校の定期テストでトップの成績を取っていることと,
志望大学に合格できる力が身についていることは,同じではありません。
学校の授業や定期テストが,
必ずしも志望大学の入試に必要な内容や難易度と一致しているとは限らないからです。
学校内では順調に見えていても,
全国の受験生と比べると十分な位置に届いていないことがあります。
まして,学校の授業についていけていない場合や,
校内で目標とする大学への進学者が出る位置に届いていない場合には,
「学校が塾不要と言っているから大丈夫」
という言葉だけを信じ続けるのは危険です。
このページを見ている時点で,すでに気づいているのではないでしょうか
「塾不要」と言われたにもかかわらず,
このページを探して読んでいる時点で,
すでに学校の言葉だけでは安心できなくなっているはずです。
その感覚を,
「学校が大丈夫と言っているから」
という理由だけで無視する必要はありません。
特に中学生は,保護者の方の判断が重要になります
高校生もそうですが,特に中学生の場合,
学校の授業だけでは厳しくなっていることに早く気づき,
行動できるかどうかは,
保護者の方の判断にかかっている部分があります。
本人は授業を十分に理解できていなくても,
次のように考えてしまうことがあります。
- みんなも分かっていないと思う
- まだ本気を出していないだけ
- 次のテストから頑張る
- 高校生になってから受験勉強を始めればよい
- 学校の先生が何とかしてくれる
しかし,理解できていない内容を残したまま授業が進むと,
分からない範囲が少しずつ広がっていきます。
成績が大きく下がってから立て直そうとすると,
現在の授業を受けながら,
過去の内容まで戻って復習しなければなりません。
そのため,立て直しに必要な時間も負担も大きくなります。
早い段階で現状を確認し,
必要な対策を始めることには大きな意味があります。
だからといって,すぐに塾へ入る必要があるとは限りません
ここまで読むと,
「結局,不安を煽って塾に入れたいだけではないか」
と思われるかもしれません。
しかし,
学校が「塾不要」という安心を強調して入学してもらうことと,
塾が必要以上に不安を煽って入塾させることは,
それほど大きく違わないと私は考えています。
そのため,
すべての生徒に塾が必要だと言うつもりはありません。
学校の授業を理解できており,
現在の成績も安定し,
自分で必要な勉強を進められているのであれば,
急いで塾に入る必要はないでしょう。
反対に,学校の授業についていけず,
何を復習すればよいのかも分からない状態であれば,
学校以外の力を借りることも検討したほうがよいかもしれません。
大切なのは,
「学校が塾不要と言っているから」という理由だけで判断しないこと
です。
まずは卒業生全体に対する合格実績の割合を確認する
学校の大学合格実績を見るときは,
合格者数の大きさだけに注目しないようにしてください。
学校全体の合格者数だけでなく,
その学年の卒業生数も一緒に見ることが重要です。
例えば,卒業生が300人いる学校で,
難関大学の合格者数が30人だったとします。
単純に計算すれば,
卒業生全体に対する割合は約1割です。
さらに,大学合格実績として公表されている数字は,
一人の生徒が複数の大学や学部に合格した結果を,
それぞれ一件として数えている場合があります。
そのため,
合格者数と,実際に合格した生徒の人数が一致するとは限りません。
可能であれば,合格者数だけでなく,
実際の進学者数も確認したほうがよいでしょう。
お子様に目指してほしい大学を基準に考えてください
次に,
お子様に目標としてほしい大学を一つの基準にしてみてください。
その大学,またはそれ以上の難易度の大学に,
卒業生全体の何割程度が進学しているのかを確認します。
そして,
学校内でのお子様の現在の成績や理解度と比較してみてください。
学校内で上位におり,
授業内容も十分に理解できているのであれば,
しばらく学校の授業を中心に進めるという判断もできます。
その場合は,
「まだ塾に入る必要はない」
と考えてもよいでしょう。
一方で,目標とする大学への進学者が学校内でも一部に限られており,
現在の成績もその位置に届いていないのであれば,
何らかの対策が必要かもしれません。
その場合に,
「そろそろ塾に入ったほうがよいのではないか」
と考えることも自然です。
「塾が必要か」ではなく「今のままで目標に届くか」で考える
塾に入るかどうかを考えるときに,
本当に確認したいのは,
単純に「塾が必要かどうか」ではありません。
今の勉強を続けて,目標とする進路に届きそうか。
この点を考える必要があります。
学校の授業だけで目標に届きそうであれば,
そのまま学校の授業を中心に取り組めばよいでしょう。
まだ塾に入る必要はないと判断することも,
もちろん間違いではありません。
一方で,現在の勉強を続けても目標との差が広がっているのであれば,
学校から塾不要と言われていることにこだわる必要はありません。
学校の授業に加えて,自分で復習する。
市販の教材を使う。
学校の先生に質問する。
塾や家庭教師の力を借りる。
方法はいくつもあります。
学校が塾不要と言っていたからという理由で,
必要な対策を先延ばしにしないでください。
学校の授業だけでは厳しいと感じている保護者の方へ
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医学部・難関大学受験に向けた指導まで行っています。
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