3分の説明に驚いた生徒
学校に勤めていたある日の授業中,私が黒板を使って説明をしていると,一部の生徒が「えー!」と声を上げました。どうしたのだろうと声をかけると,次のようなことを言われました。
「今先生が説明した問題,昨日解こうとして分からなかったから職員室に行きました。でも,サクミチ先生はすでに帰った後だったので,B先生に質問したんです。B先生は一生懸命教えてくれたけど,全く理解できなくて……。30分以上教えてくれたけど,最後まで理解できませんでした。でも,サクミチ先生のたった3分の説明であっという間に理解できたことに驚いて,思わず声を上げてしまいました」
「でもそれなら,『なるほど!』とか『すごい!』とか言ってくれたらいいのに」と私が返すと,その生徒は「いや,理解できた瞬間に昨日のあの時間はなんやったんやろって,ちょっとショックでした」と話してくれました。
驚いて声を上げた生徒は初めてでしたが,同じようなことはよく言われます。「サクミチ先生の説明ですぐに理解できた問題を,学校はすごく時間をかけて説明していて不思議に感じる。その割にまわりは全然理解できていない」「サクミチ先生に質問すると,学校の先生に質問するのって時間の無駄だと感じてしまう」といった声を聞いたこともあります。
学校でずっと分からなかった問題でも,キタノジュクでの短い説明であっという間に理解できることがあるから不思議です。
説明を短く終えることがある理由
私は基本問題について,いかに短い時間で生徒が理解できるかを意識して指導しています。説明を聞いて理解した後は,自分のものにするための演習時間をしっかり取る。この方針は,学校・塾・家庭教師のいずれの場合も同じです。
しかし,これにより「サクミチ先生の授業って,自分で解いている時間が長いから,なんかもったいない気がする」と思われることがあります。
たしかに,せっかく塾に通うなら,授業中は先生にたくさん説明してもらうほうがよいように感じるかもしれません。ただ,説明を聞いた時間の長さと,自分で解けるようになった問題の数は同じではありません。
授業の目的は,先生の説明を長く聞くことではなく,理解したことを使って,自分で解ける問題を増やすことだと考えています。
演習も授業の大切な時間です
もちろん,どの問題も短く説明するわけではありません。考え方を整理する必要がある問題や,つまずきが続くところには時間をかけます。一方で,説明を聞いて理解できた問題は,そこで終わらせず,自分の力で解けるかを確かめる時間を取ります。
授業中に問題を解く時間は,家で一人で解く時間と同じように見えるかもしれません。しかし,そばで解き方を見ていると,手が止まったところで声をかけ,その場で疑問を解消できます。
また,生徒本人は説明されたとおりに解いているつもりでも,実際には違う方法で進めていることがあります。解けた場合でも,想定より時間がかかっていれば,計算や前提となる知識に別の弱点が見つかることもあります。こうしたことは,答えが合っているかどうかだけでは分かりません。
演習中に見つけたつまずきに応じて説明を加え,もう一度自分で解けるかを確かめる。そこまで含めて,授業中の演習だと考えています。
「授業中の演習時間」と「自習室での演習時間」は同じようで違います